05月19日
(1) ディズニーはこんな会社です
05月20日
(2) ボクシングからエンターテイメントの世界へ
05月21日
(3) 革新家ウォルト・ディズニー
05月22日
(4) ディズニーのイメージを変えたい
ディズニーのイメージを変えたい
- 小林
- ディズニーのいいところってどこでしょう?
- 塚越
- 仲間が多いところですね。例えば「リロ&スティッチ」で説明すると、まず映画が公開されたでしょ。その後グッズが出たりDVDが出たり、テレビシリーズの「リロ&スティッチ ザ・シリーズ」が放映されたり。今だと東京ディズニーランドでもショーをやってます。このように作品をグループ全体で育てて行くやり方を社内ではフランチャイズって呼んで、目指しているんです。僕らの部門だけで動くんじゃなくて、兄弟である他の部門と一緒に、いつのタイミングで何をどうやったらみなさんに面白いと思ってもらえるかを協力しあって演出しています。
- 小林
- 1つの会社とはいえ、なかなかグループ会社として横の連携はないのが普通でしょうから、めずらしいですね。本国と日本では人気のあるキャラクターが違いそうですよね。
- 塚越
- そうそう。「リロ&スティッチ」も本国では日本ほど受けてないんですよ。
- 小林
- 先程のお話だと、スティッチのアニメがテレビシリーズで始まるそうですが、それは日本だけですか?
- 塚越
- 日本国内で動き始めています。なんと日本が舞台です。
- 小林
- え〜。本当ですか? 制作はどこで?
- 塚越
- 日本のスタジオで、日本人スタッフが作ります。
- 小林
- 画期的!
- 塚越
- 本社を含めて会社全体に、もっと作品を楽しめるようにしていこうという動きがあります。
- 小林
- ということは、アメリカの本社がOKを出したんですよね。
- 塚越
- ウォルト・ディズニー・ジャパン社長のポール・キャンドランドが率先して推し進めているプロジェクトです。ポールを中心に、大変であっても社を挙げて、可能性のあるコンテンツについて、ローカルで喜んでもらえる可能性があるなら、どんどん検討しようじゃないかという風になってきています。ローカルコンテンツの開発はディズニーのボブ・アイガーCEOの方針でもありますから。
- 小林
- 日本のマーケットが大きいからということもあるんですか?
- 塚越
- もちろんそれもあります。でも、本社の方針や、日本でも星野前社長、ポール現社長のリーダーシップによって変ってきている。昔は、絶対無理だとあきらめていたことが出来るようになると元気がでるでしょ。それでみんな元気になってきているんです。いまみんなで「リロ&スティッチ」を盛り上げようとしている。あと「ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛」が5月に映画公開されるんで、一丸になって盛り上げていこうとしています。
ところで小林さんって、ディズニーってどういうイメージ?
- 小林
- アニメですね。
- 塚越
- やっぱりそうだよね。でも、それを変えようとしています。実際には、ディズニーはもっとエンターテイメント全般で活動をしているんです。例えば、ディズニーと言われたときにイメージするものが年代によって違うんです。おじさんたちの中には、ディズニーと言えばテレビ放送という人もいるんですよ。というのも、昔、日本テレビでウォルト・ディズニーが出ていた「ディズニーランド」っていう番組があったんですよ。
- 小林
- 本人が出演してるなら見てみたいです。彼がどんなことを喋っているのか聞いてみたい。
- 塚越
- DVDは無いけど、VHSで出てました(現在生産終了)。ウォルトが「今日はこんな番組を紹介するよ」って言って「砂漠は生きている」とか色々な実写の自然シリーズを放送していて。おじさんたちは子どもの頃にそれを見ていたんです。それで、ディズニーのイメージといえば、「プロレスと交替でやっていたあれ」になっちゃった。
- 小林
- プロレスと交替??
- 塚越
- 当時は1週間おきの放送だったんです。凄い組み合わせだよね(笑)。もう少し後ろの世代になると、ディズニーと言えばアニメーションってなるんです。そして、この25年だと、若い人にディズニーって聞くと、「ディズニーランド!」って言う。でも、ディズニーって本当はいろいろな側面があって、全部合わせてディズニーじゃないですか。
- 小林
- 日本ではアニメとディズニーランドというイメージが大きいですが、それ以外のイメージをもっと活性化させていこうと思っていらっしゃる?
- 塚越
- そう、みんな含めてディズニーって思って欲しいんです。今は、ディズニーというと「あっ子ども向けのアニメ」って思われている人が多いんですよ。でもさっき言ったようにそうじゃない。アニメーションだけじゃなく実写もあるし、パークもあるし、本もゲームも音楽もグッズも含めたディズニーというところを楽しんでもらえるように視点を広げたいんです。老若男女のみなさんにさまざまなメディア、場所で楽しんでもらいたい(笑)。具体的に言うと、いまDVDを買いに行くと、ディズニーのものはキッズコーナーの「アンパンマン」の隣とかにおいてあるし、「パイレーツ・オブ・カリビアン」と、「リロ&スティッチ」が隣同士にあることに、店員の方も違和感があると思います。それが非常に間口を狭めている。そこにはディズニーはこういうものだというイメージがあるんですよね。でもオールターゲットに色々なエンターテインメントを楽しんでもらえる映像や場所、ものや機会を提供するのがディズニーだと思います。
- 小林
- 全てのテレビや映画やアニメでディズニーマークが、同じ位置にあるといい宣伝になりそうですよね。
- 塚越
- そうですね。いま映画館へ行くと、実写であっても動画の3Dのシンデレラ城が出るようになってきている。店頭からなにから同じものに変えているところです。
- 小林
- ではこれからは、思いもかけなかった作品に出てくることがありそうですね。ミッキーがパイレーツの格好をして宣伝するとかもありですか?
- 塚越
- それはハロウィーンの時にやりました(笑)。
- 小林
- (DVDリストを見て)へぇ。「コヨーテ・アグリー」もディズニーなんですか? 内容的にもディズニーとは思わない感じでした。私この映画好きなんですよ。終わりもさわやかだし。
- 塚越
- (作品の中で)親父も理解してくれてさ。あれは泣けるシーンでした(笑)。
- 小林
- 色々なことを展開されているんですね。
- 塚越
- 安心してみんなで見て感動できる。それから「パイレーツ・オブ・カリビアン」みたいに刺激があって楽しめる。みたいなものをたくさん提供していきたいと思います。
- 小林
- ディズニーで日本発のアニメは、初めてのことですか?
- 塚越
- テレビアニメーションっていうのは初めてのことですね。
- 小林
- ディズニー関連のものは本国が、がちっと固めて新しくクリエイトする余地なんてないかと思っていました。でも、今日のお話を聞くとずいぶん流れが変ってきていますね。
- 塚越
- そう。ずいぶん風向きが変ってきています。
- 小林
- ディズニーには元々ふんだんに音楽とダンスというミュージカルの要素が入っていますよね。私たちもウォルト・ディズニーのアニメーションの影響を受けています。
ミュージカルって日本では凄く悪い言い方で「日本のミュージカルはブロードウェィやウエストエンドの植民地」という言われ方をされることがありますが、ディズニーが、日本国内でオリジナルのアニメーションを作ると聞いて、私たちも輸入ものだけではなく、日本オリジナルのミュージカルに取り組んで、新しい風を吹かせていけたらと思います。
塚越さんご自身がディズニーアニメの登場キャラクターのような方ですよね。でっかい森の守り人でもある賢者のくまさん=塚越さん(失礼します!)が森のどうぶつたちをとりまとめているわけですけど、マジメなどうぶつ会議の最後には、みんなで輪になってピョンピョン踊り、真ん中の切り株の上ではくまさんがはりきって歌っている(たぶん陽気なカンツォーネあたり)、というのが私の脳内劇場では繰り広がっています。塚越さんがご自分たちの仕事に、個人が見る夢・会社が作る夢・社会に贈る夢、見事にこの三点セットを抱いてらっしゃるのをとても感じました。そんなくまさん(再び失礼!)がボクシングで鍛えたでっかいボディで高らかに歌えば、うさぎさんもりすさんも、ピョンピョン踊れちゃうと思うのです。

小林香
Show Creator。
京都市出身。18歳で京都フィロムジカ管弦楽団を設立。その功績が認められ、20歳でニューヨーク・フィルにインターン留学。同志社大学卒業後、ミュージカルの演出・振付家に師事。26歳で東宝と最年少プロデューサー契約を交わし、「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」「マリー・アントワネット」「ベガーズ・オペラ」「SHOCK」などの大作に携わる。07年に日比谷に生まれた新劇場・シアタークリエのこけら落とし公演をプロデュース。作詞、ショウの演出・構成においても現在もっとも注目されているクリエイターである。
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